「はい、呼んで?」

「あ、あのっ近いですっ」

「そっちが、なんでもするって言ったんだよ」


名前、名前っ

一旦、先輩から顔を反らして落ち着く
といっても、膝の上に乗せられてるから、離れられないけれど…


九条先輩の、名前…

これから、呼んでいいの!?

これは、私に対してのご褒美なのでは!?

1人で興奮していたら

「…遅い」

カプッ

「ひゃあっ」

耳!!くすぐったいっ

「この前も思ったけど、耳弱いよね?」

クスリと笑って、私の耳を甘噛する先輩

「やぁっ」

先輩の膝の上だから逃げることも出来なくて

もうキャパオーバー状態


これはもう、早く呼んじゃったほうがっ






「み、湊先輩っ」






呼んだ瞬間





「はーい?」



そう言って意地悪く笑う先輩


この人悪魔だっ

全然、絶対女嫌いなんかじゃないよっ

真っ赤になりながら、怒っていると




「怒んないでよ、羽華」

「!!!」


また、楽しそうに笑う先輩

「な、名前!知ってたんですか!?」


「さっきまで忘れてただけ」


「なんなんですかあ!!」



初めて名前を呼んでくれた日


先輩の、ちょっぴり特別枠にはいれた気がして、ドキドキが止まりませんでした


今度からボイスレコーダーをポケットに忍ばせておこうと決めた