夕焼けが入り込んで、オレンジ色に輝く廊下

周りは、これから始まるステージイベントに浮きだってどこか落ち着かない雰囲気になっていた


……俺も落ち着かないんだけど



「いない……」


いつも気にしなくてもバカみたいに視界に入り込んでいたはずなのに、一番会いたい時に会えないなんて


羽華はいつもどうやって俺を見つけてたわけ?


さすがストーカー、怖い……


…じゃなくて


本気でそろそろ焦るんだけど?



探し始めて、2時間


帰った?…いや、実行委員は最後まで片付けがあるし、何より明日の準備だってあるから、遅くまで残るはず



じゃあ、どこに?



あー、もう。



連絡すらつかない


姿すら見えない



何度目かわからない電話を掛けながら、廊下を走っていたら、いつの間にか旧校舎へと繋がる廊下まで、戻ってきていた


「…引き返すか」


いつもは、誰もいない旧校舎前も、今日はなんでか混んでいた


あー、もう


人嫌い、羽華に会いたい


家に帰りたい、羽華に会いたい



次から次へと集まってくる人を避けながら、本校舎へと足を運んだ時、



「……九条?」



男の癖に甘ったるい声


まぁ、それは羽華の前だけだけど


実際今も、俺の顔を見て可愛い顔を歪めて声を低くしてこちらを見ていた


「洸……羽華知らない?」

「……羽華に何したんだよ?」

「……泣かせた」


目を見開き、眉を寄せると、詰め寄ってきて手首を掴んだ


歪んだ表情から、羽華の事を思っているのが伝わってくる


「俺はお前がすげー嫌い」


「…うん」


「まじで、無駄に整ってる顔も、そのスカした性格も、羽華がお前を好きだってことも」


「……うん」


「でもっ」


俺が着ているカーディガンの袖をギュット強く握ると、吐き捨てるように言った


「俺がどんなに九条が嫌いで、俺が一番に羽華のこと考えててても、羽華は九条じゃなきゃ駄目なんだよなぁっ…」


そこで、笑わないでよ


しかも、そんな苦しそうに



なにも言えず、ただ洸の次の言葉を待った

まだ何かを伝えてくれそうな気がしたから



すると、やっぱり洸は、俺の腕を掴んで人混みの中に突っ込んでいった


なんだなんだと、周りが見てくるがお構い無しだ



「洸?」


「これ」



洸が見上げる先


洸だけじゃない


周りにいる生徒たちがその“絵”見ていた


誰もが目を離せない


ただ、俺だけは、他とは違う理由で目が離せなかった


その見覚えのある絵から








「ホントに……いつから俺のこと好きだったの?」