「……何してんのかな」

フリフリのメイド服を着て、笑顔で接客している姿が簡単に想像できる

メイド服に羽華が着られてるの間違いか


そんなことを言えば、いつも笑ってる顔を赤らめて、怒ってくるんだろーな


あ、そういえば、待ち合わせ場所とか決めてなかった

…………連絡しようかな


スマホを取り出して、考えて、しまう

こんなところ裕に見られたら、また、あの変な歌、歌われる…


そう思って狭い休憩室をこっそりでて、未だに女と戯れている裕の横を通りすぎて、教室を出た

廊下も教室と同じで、浮かれた生徒で賑わっていて、落ち着かない


どこか人がいない所ってないわけ?


耳にイヤホンをつけて、校内をぐるりと歩き回る

いつもの旧校舎に行けば解決するんだろうけど、……あそこまで歩くのは疲れるし…

一年の教室を通りすぎたとき、一気に人気が少なくなった

あー、そっか、この辺は空き教室ばっかりだから、学校祭でも使ってないんだ


廊下の突き当たりにあったドアを開けば、そこは外に繋がっていた


…こんなとこあったんだ


羽華にも見つからない昼寝スポット認定だな

フラりと中に足を進めて、見るからに古いベンチに横になった


あー、何て送ろうか


変に羽華を喜ばせるのも、なんか、…ムカつく

きっと、俺から連絡すること事態に発狂しそうだしね

普段冷たい俺が悪いんだけど……


耳から流れる音楽に気分を任せて連絡できれば簡単なんだけどなー…

目を閉じて羽華の笑う顔を想像する


大きな目を細めて、遠慮なく笑う姿



たまには喜ばせてあげるのも、いーかな


連絡をしようと、ブレザーのポケットに入れていたスマホを手に取った








「なーに?誰に連絡するの?」







目の前から消えたスマホ


代わりに目に飛び込んできたもの



「…久しぶり……紗夜」


「ふふっ、湊くん、会えて嬉しいなぁ」