何度でも君に好きが届くその瞬間まで


最初の違和感は、早くも行われた中学の同窓会だった

いつものように輪に混ざるとあからさまに態度の悪いメンバー

目も合わない

会話なんてもちろんない

俺がその場を離れれば、明るく騒ぎ始める

なんだ?

この日まで会わなかったから、心当たりなんてあるわけない

不思議に思いながらもとりあえず裕だけはいつも通りだったので裕と話していた

盛り上がる会話

突然、頭が冷える

背中も冷えた

裕が俺の隣にたった友達にキレたから、冷えたと感じた頭を触れば、甘いジュースの香り混ざっていたんであろう、果肉が髪にベットリとついていた

俺の代わりにキレてくれていた裕に近づいて止めようとした時、

「湊がこんな奴だったなんて騙されたこっちの気持ちにもなれよっ!!」

俺にジュースをぶっかけた男がキレた

言葉の意味がわからない

裕も唖然と男を掴んで固まった

吹っ切りたかのように周りの奴らも口々に俺を非難し始めた


「今まで湊と一緒にいたなんて、、無理すぎ、あり得ない」

「冷酷人間」

「ははっ、今日よく来れたな?メンタル強すぎ」



「やっぱり、紗夜のこと考えたことないじゃん」


沢山の罵声のなか、聞こえたその名前

紗夜?なんで、紗夜が?

卒業してからは、デートに誘われれば行くようにしていた

誕生日だって一緒に祝った

放課後は毎日迎えに行った

学校で会わなくなった分、一応は寂しい思いをさせないように

必死に彼氏もどきを続けてたんだと思う

「紗夜?あいつがなんだってっっ!!」

裕が男に掴みかかると、普段大人しい裕が怒ってるからか怯んだ奴らがポツリポツリと話した

───浮気

───逆ギレ

───パシりにされたって

その他もろもろ

ありとあらゆる嫌なことが全て俺の性格の要素にされてた

「はっ、は?」

空気が口から漏れた

誰一人、その話を、噂を聞いて俺を信じなかったのか?

少しも、紗夜を疑わなかったのか?

裕に手をひかれて、冷たい空気が流れる会場を後にした


俺は、紗夜に寂しい思いをさせてたのか?

確かに気持ちはなかった

でも、紗夜が望むならなんだってした

だけど、気持ちがないんじゃダメだよな…

当たり前か

俺はその日のうちに紗夜に連絡して、直接会って話をした

同窓会でのこと。紗夜は家の用事で参加してなかったからもちろん知らないだろうし

後は、今までのこと、すべて

謝った

けど、

「気持ちなんていらない……お願いっ紗夜の側にいて?」

正直嫌だった

中学の友達に悪い噂を撒き散らして、居場所なんてあったもんじゃなかった

単純に気味が悪い

裏でこそこそしてたのも嫌だった

俺が全般的に悪いとしても、こらからも付き合い続けるのには無理があった

「ごめん、無理」

そう言って紗夜と別れた