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~湊side~

中学の時、毎日が楽しくて仕方がなかった気がする

何がって聞かれてもわかんないけど

いつでも隣にいた裕のおかげかもしれない

今みたいに態度も悪くなかったから、周りには性別関係なく人間がいた


よくわかんないけど、なんとなく放課後は集まって、騒いで、疲れて帰っての毎日

まあ、中学生の騒ぐなんてたかが知れてるけど


特に中学最後の年は、推薦枠をもらって早めに受験気分から脱出した俺は、裕も含むその他推薦組と最後の年を楽しく過ごした



その中の一人が紗夜だった



恋愛感情なんてなかった

ましてや、今まで誰かを好きになるなんてこともなかった

告白されることは何度もあったけど、毎日友達と騒ぐのに忙しいのと、推薦枠が欲しくて勉強に明け暮れてた二年間で、彼女なんてつくったことなかった


だから、なんとなくだった


告白してきたのは紗夜だった

思えばその日はわざとらしく周りの奴らは俺たちだけを教室に置いていった気がする

いつもは学校が施錠されるまで残ってる癖に

裕はその日流行ってもいないインフルにかかって苦しんで家で寝込んでた


確かに大勢の中にいた紗夜は、楽しく騒ぐ奴らの内の一人だった

名前呼びなのも、その時の名残で、ほとんど皆三年間同じクラスだったから

俺の中ではなんの特別もない、ただ、それだけだった

好きだって言われて特に何も感じなかった

いや、サイテーな考えだけど

ただ


特に何も色恋のなかった三年間

一度位ならいっかって、そんな軽い気持ち

けど、さすがに抵抗はあったから正直に言った

「俺、紗夜のこと好きじゃないけど?たぶん、これから好きになることもない」

「いいの、側にいたいだけ、お願いっ」

「……わかった」


その日から、その瞬間から俺は間違ってたんだ


特に何の進展もなかい一ヶ月目

友達と混ざって会話すれば、少しからかわれた三ヶ月目

デートを断った四ヶ月目

会話のない卒業式


そのまま、俺達は別々の高校に入学した


ほんとに付き合ってたのかって聞きたくなるくらい、何もなかった

特別も、驚きも、イベントも

なんのアクションもなかった

こんなもんなのかな?

付き合うの一般常識がわからなかった

いや、わかろうとしてなかったのか



そして、事件は起きる