波瀾万丈な人生をここ一週間で一気に体験したような気持ちになって終了した合同授業
さすがの私も一息つきたいと思ったけど…
合同授業後も、振り返り休日なんてものはなくて、当たり前の日常が帰ってきた
まあ、でも、私としては好都合!!休みを挟まずに湊先輩に会えるからね!
「な、なあ羽華?ホントにやるのか?」
私の隣で可愛い顔をひきつらせて聞いてくるのは、洸くん
「もちろん!徹夜で作ったんだから、どーんと披露しなきゃね!」
「だよね……羽華のためだ、俺はなんだってやるぞ……それに九条の顔も見物だろうしな」
ブツブツと何やら呟きはじめた洸くん
気合いの儀式かな?
朝の屋上は、ここ最近まで暑かったのに一気に下がった気温のせいで少し肌寒くなっていた
夏はこの間の合同授業で通りすぎてしまったらしい
そんなことを考えながら今日の大イベントの為に準備をしていたら、愛しの姿を校門近くに発見した
「洸くん!いらっしゃいました!」
「よし……やるかあ」
大きな旗のついた棒を持ち上げて、洸くんには旗が風であおられないように押さえて貰う
そして、
「湊せんぱあああい!!好きでえええええす!付き合ってくださっ、ゴホッゴホッぐはっ!おえっ」
大きな声で叫びすぎたせいで最後の方むせてしまった…
屋上からだけど、聞こえたかな?
あ、聞こえてるわ
だってあの顔
「あははっ!!羽華見てよ!あの顔!」
「……あはは、洸くん笑い事じゃないよ、怒っていらっしゃいますね…湊先輩」
屋上からでもわかる
滅多に表情を変えない先輩は、しかめっ面でおでこにシワを寄せてこちらを睨み付け、凝視していた
「あは、怒った顔も国宝級ですよおおおお」
めげずに叫べば早足で玄関に入って行った先輩
その後を腹を抱えて笑っていた裕先輩が追いかけて行った
ありゃ、これはもう今日は先輩怒って屋上には来てくれないかもなあ
後で教室に押し掛けよっと
もちろん、この大傑作を見てくれていたのは湊先輩だけではなくて、ちょうど登校していた生徒達にも見えてるわけで、
下からは、
「ひゃはははっ!んだあれは!」
「え、九条くんって……そうだったの?」
「でも、確かに……俺も九条にだったら、」
「ば、バカお前!あの冷たい目で何人の女が犠牲になったと!!」
「「羽華ちゃーーんっ!最高だよーー!」」
反応は様々、でも誰一人嫌な顔はせずにむしろ、皆さん興奮した様子で騒ぎ始めている
「えへへ、どもどもー!」
下にいる人たちに手を振る
振ってたんだけど…

