「だ、大丈夫ですか!」
「わー、ずぶ濡れだあ」
後ろを向けば私を両腕で抱き締めながらニコニコ顔の洸君
天使のような顔で恐ろしい事をする…
「二人とも、羽華に近づきすぎな?」
そう言って未だに放心状態の二人に近寄り、パシャパシャと水をかけ始めた
見事、二人揃ってずぶ濡れの先輩方
にも関わらず、裕先輩は笑いながら洸君と水を掛け合い、湊先輩に至っては、諦めたかのように水の上に座ってしまっている
あ、なんか、尊いかも…
イケメン達が湖で戯れている……
しばらく見惚れてたんだけど、このままだと二人が風邪をひいてしまうのでとりあえず遊んでいる裕先輩は放っておいて、湊先輩を湖から引き上げようと、近寄る
「先輩、立ってください?私、女子力あるのでタオル持ってきてるんです」
「え、今まで女子要素感じたことなかった」
ボッシャンッッ
「…寒い」
「夏だから、すぐ乾きますね!」
一度掴んだ先輩の手をもう一度水の方へ突き放す
裕先輩、湊先輩が私の事気にかけてるなんてそんな事全然無いよ
こんな失礼な人は湖に流されてしまえ!
一人でレジャーシートの方へ戻ろうと先輩に背を向けた
「置いてくの?」
「…うっ」
私の手首を優しく掴んで、水の中で座ったまま上目遣いでこちらを見てるから何も言えなくなる
濡れたシャツは透けていて、首筋から雫が落ちて綺麗な肉体美が披露されまくっている
濡れた髪を私の手を掴んでいる方とは反対の手で髪をすくって、いつもは隠れているおでこが見えて、普段と違う雰囲気に胸が高鳴る
「……っ仕方ないですね!今日こそ部屋に招待してくださいね!」
「それはヤダ」
「もう遅いです」
先輩の手首を両手で掴み勢いよく立ち上がらせる
そのままレジャーシートの所まで引っ張っていき、座らせる
確かタオル、あったと思うんだけど…
あ、あったあった!
「先輩、ありましたタオ…ル…」
「ん、ありがと」
自然と頬が熱くなるのがわかる
振り返ったら裸の先輩が思ったより近距離にいて驚いたから
先輩、ひ弱そうに見えて意外と筋肉あるんだなあ…
驚いたまま硬直した私からタオルを受け取った先輩は、ゴシゴシとゆっくり体を拭き始めた
「なに?」
「え!?や、何でもないです!」
見つめすぎたのか、先輩が怪訝な顔でこちらを見ている
さすがに筋肉に見惚れてましたは、キモいよね!?
パッと視線を反らしてお昼の片付けを始める
あー、ドキドキした…