何度でも君に好きが届くその瞬間まで

♡♡♡

施設を離れて、綺麗に手入れされてある森の中に入っていく

森、と言っても少し木が密集してあるだけでそんなに広いものではなくて、それでも緑のいい香りがする

心地のよい風を優しく浴びながら小道を歩く

暖かくて、木々の間から日が射す

きっとここなら先輩がいるはず

少し歩くと突然に視界が開ける

そこには少し大きな湖

水面は透き通っていて、光を浴びてキラキラ輝いている

去年は勉強しかしてなかったからこんなに綺麗なところがあったなんて知らなかったなあ

ほ~と見惚れていたら、視界の先に会いたくて堪らなかった人が、一人木陰で寝ているのが目にはいった




ゆっくりと近づく


本当は、こっそり写真撮りたかったけど…

起こしたらその後が怖いからね


静かに寝起きをたてて、寝ている湊先輩









静かに先輩の隣に座る

透き通る綺麗な肌
男の人にしては長い睫毛
少し目にかかっている、黒いまっすぐな髪の毛がそよ風でなびく


湖の周りは何もなくて、施設からも離れている

光の中に包まれて、木々にも囲まれて穏やかな時間が流れる


今だけ、今だけは

二人だけのこの空間

なんだか

私だけの先輩のような気がして


寝ている先輩の髪にそっと触れる

サラサラと指の動きに合わせて流れる髪
綺麗に閉じられている目が見える



「……好きです、」


気づいてないんだろうなあ


これが久しぶりの声に出しての告白だってこと

先輩は寝ているから反応無しだけど



辺りは静か


告白は湖の水面の音と流れていった


ゴロンっと先輩の横に寝そべる

横向きになって綺麗な寝顔を見つめる

起きてる時よりも寝てるときの方が王子様に見えるなあ

起きててもかっこいいんだけど、なんと言うか起きてる時は無気力感が増すからなあ


ボーッと眺めていたら、だんだん眠くなってきた、

思わず目を閉じてしまう


少しなら寝ても…









「何、一緒に寝ようとしてるの」








ん、んん??





ぱっと、目を開ける


眠気なんて一瞬でなくなる



目の前には無表情にこちらを見ている先輩の顔




わー、かっこいいなあ
距離が近いからより美しい顔が際立つ

なんだかいい香りもするし…


じゃなくてっ



「起きてたんですか!?」



ガバッと勢いよく起き上がる
湊先輩もノロノロと地面に手を付きながら上半身だけ体を起こす


「……今、起きた」

あ、よかった、告白は聞かれてなかったのかな


「誰かさんの鼻息がうるさくて寝れなかった」

「はい?」

「人の寝顔見て興奮してたんだ?」

「そ、そんなことないですよっ!!」


そんなにうるさかったかな!?
鼻息だよ?今まで気にしたことなかったのに…

ふん、ふーんっと鼻から勢いよく空気を出してみる

女の子として鼻息が荒いのは直した方がいいに決まってる…

「嘘」

「へ、?」

「視線がうるさかっただけ」

綺麗な唇が片方だけ上がり意地悪く笑みを浮かべている

騙された…

「酷いですよ!連絡にも出てくれないしっ、何処に居るのかも教えてくれないから、ずっと探してたんですよ!」

隣に座る先輩に向かい合って、したから見上げ睨み付ける

ぽけーっと遠くを見つめていた先輩が少しだけこちらを見て

「羽華に教える必要ある?」

「それは、…ないです」

その瞳で私を見てくれたのは一瞬で、

冷めた声はいつもの事なのに何故だか体の奥がひんやりした気がした