名残惜しいなあ、と思いながら立ち上がる
途端、後ろに引っ張られて、あっという間に先輩の膝の上に座る状態になる
お腹に腕を回されて動けなくなる
スラッとしてて、モデルみたいなのに、こうして抱き締められる度、ほどよくついた筋肉がやっぱり男の人なんだなあ、て思う
「先輩?朝礼に間に合わないですよ?」
「んー」
聞いてるのか聞いてないのかよく分からない返事が後ろから気だるげに聞こえてくる
嫌ではないのでしばらく抱き締められたままでいると、
「あ!!!おいっ九条、羽華から離れろっ汚れるっ、清純な羽華がー!!」
こちらに気づいたらしい洸君が凄い勢いで走ってくる
裕先輩は、にやにやと笑いながらゆっくりとこちらに戻ってきた
「先輩、行きましょう?」
パッと離してくれた、と思ったら片方の腕を引っ張られて、少し後ろに体が傾く
先輩の顔がすぐ側にあって、心臓がうるさくなる
「水着着れないんじゃない?」
耳元で囁いたと思ったら、スゥっと体のラインをなぞられる
「ひゃっ」
「楽しみにしてる」
何事もなかったように、洸君にポカポカと殴られながら裏庭を出ていく湊先輩
今の、は
太っていると?
さっき、お腹に腕を回していたのは、肉があるなあ、水着なんて着れたもんじゃないだろう
って、思ってたの?
「見ててくださいよーっ!!鼻血出ますからね!水着姿ーっ!!」
小さくなった背中にそう呼び掛ければ、少し振り返って意地悪い笑みを浮かべて、いなくなってしまった
洸君が急いで戻ってきてくれる
「水着って?九条に何か言われたの?」
「太ってる…みたいな?」
「あいつ…そんなわけないだろ、羽華は三咲さん似で、スタイルいいから」
「ありがとう、洸君」
お世辞でも嬉しい事を言ってくれる
あー、可愛いなあ
よしよし頭を撫でていたら
「それに、昔と違って胸も……っ」
「帰るよ」
「ごめんって、ちょ、置いてかないで!」
頭をさすりながら、後から洸君が追いかけてきた

