「春のこと、怒ってくれたから、…俺が言わなきゃいけなかったのに、さっき、春が謝りに来た、好きだったって、そんで、ちゃんと今度は向き合って断ってきた」

「そうですか…」

月野先輩、よかったです

次は幸せな恋してくださいね

「だけど、」

一瞬フワッと宙に浮く
先輩の膝の上に横向きに乗せられる

「危ないことすんな、また襲われたらどーすんだ」

「……はい」

「お仕置き」

ん?

今、なんて


急いで距離を取ろうとしたけど、遅くって
肩に顔を埋められる


首筋が熱っぽい唇に何度もキスされる


「……っいやぁ、」

ゆっくり位置が上がってきて、耳に触れられる
優しくふれてくるから、くすぐったい

「……っはぁ」

抱き締めたまま何度も頭を優しく撫でてくれる
グイッと先輩の胸を押してみるけど動かない

しばらくして、離してくれる先輩


「…変態ですね」

「羽華には負ける」

こんなことしておいて、無表情な先輩
いつもと変わらない態度に自然と笑みがこぼれてしまう

「真っ赤になる癖、直さないとね?」

「…じゃあ、もっとしてもいいんですよ?」

ん、?

今、私、なんて言った?!

また、熱くなる顔
先輩も反対側に顔を背けて固まっている

嫌われた?!引かれた!?

先輩の顔を見ようと見上げれば、

「…先輩だって、赤いじゃないですか」

珍しく顔を赤くしている先輩
耳まで赤くなっている


「……あんまり、そう言う事、言わないで」

ゆっくりと綺麗な顔が近づいてきて、そっとおでこにキスされる


「はい、俺の勝ち」

もっと赤くなった私を見て、ニヤリと笑うから
なにも言えなくなる


「後、朝のお出迎えにあいつ置いてくのやめなよ、一人で泣いてたよ」

あいつ?

「あ、洸君!」

忘れてた!ごめんねっいま帰るよ!

先輩の膝から降りて、教室に帰ろうとする

「どこ行くの?」

「教室に、授業始まるっ」

焦っている私をよそに何故か呆れた目で見てくる先輩

「今、昼休みだけど」

え?


「はい?!」

「羽華、ずっと寝てたんだよ、朝からここで」

そんで、俺もここで羽華が起きるの待ってたら寝てた

ふわぁっと欠伸をする先輩

私、午前中の授業全部サボったってこと?
慌てて携帯を確認する

「あー…」

菜留と洸君から鬼のように連絡が来ている
また、心配かけちゃったなあ

「戻ってくれば?」

ポンポンと自分の隣を叩く先輩

この人、サボったことに対してなんとも思ってないのね

ため息をつきながら、もとの場所に戻る


同時に私の肩に頭を乗せてくる

「また、寝るんですか?」

「スゥースゥ…」

寝るの早いなあ
静かな寝息が聞こえてくる

自由すぎて、困るよ
午後の授業には集中しよう

この後、そう決めたのにも関わらず、先輩につられてうたた寝していまい、授業にでられず菜留と洸君に凄く怒られた