今度こそ、一人になる

静まり返る裏庭

ふぅっと一息
ベンチに横たわる

あー、緊張したあ
でも、話したら分かってくれてよかった
月野先輩もただ湊先輩のことが好きすぎただけだよね

目を瞑る

暖かい光に包まれて、眠くなる
教室行かなきゃなあ

菜留も、洸君も心配して…





「羽華」




「わあああ!!」





隣からいきなり声が聞こえて、ガバッと起き上がる


隣を見ると涼しい顔をして、しゃがみ込んでこちらを見ている人が


「湊先輩…」

「こんなところで寝ないでよ」

そのまま黙って隣に座る
いつから、いたんだろう、気づかなかったなあ

ぽけーっと先輩を眺めていたら

「ありがと」

「……あ」

先輩はこちらを見て微笑んでいる
いつになく穏やかに笑うから、つい


「死ぬんですか?」

「….もう、笑わない」

「嘘ですっ、どんどんくださいっ」

前のめりになって、先輩に頼めば、そのまま抱き寄せられる、先輩の爽やかな香水の香りに包まれる

「ずっと聞いてた」

何を?

「羽華が熱弁してるとこ」

「え」

は、恥ずかしい!
だって、先輩の好きなところ言い合ってたよ?
本人に直接伝えるのと、陰で聞かれるのとはなんだか、気持ちの持ちようが違うよ!

「それは、引かれたでしょう、…ごめんなさい」

「は?なんで謝る?」

「だって、先輩のエクボが好きなんて、キモいですよね、や、好きなのはそこだけじゃないんですよ!?例えばっ」

「黙って」

むぎゅっと口をつままれる

背中に腕を回されたまま、頭も抱え込められる
先輩のいい匂いで窒息しそう