勉強会が始まって1時間ちょっとした頃


「…ねえ」

「?なんですか?」

「教える必要ないんじゃない」

ギクッ

そうなんです、別に私、勉強苦手な訳じゃない

けど、放課後、先輩に勉強教えてもらうのが夢で…

何て言ったら、殺されそうなので

「や、でも毎回最下位に近くて、その、
 今回は夏休みの補習も避けたいのでっ」

「ふーん」


横目でこちらを見ている先輩
疑っていらっしゃる…

「とりあえず!今日はもう遅いので、解散
 にしましょう?」

あわてて、片付けていると


「家どこ」

「え」

「送ってく」


送ってく?……あの、女嫌いの先輩が?

「や、そんな!大丈夫ですよ!」


先輩に送って貰えるなんて夢すぎるけど!

そんな、私を無視してスタスタと玄関に向かっていく

「それに!危ないのは先輩の方ですよ!
 そんな、かわいい顔して、夜道歩いてたら
 監禁されますよ!」

「そんなことするのは、君だけだよ」

あと、かわいいって言ったらもう教えない
いつまでも、動こうとしない私を引きずって
そう言った

「先輩、ありがとうございます」

「ストーカーやめてくれる?」

「好きです!大好きです!」

「最近、俺の話し聞かないよね」

少し暗くなった夜道

ほとんど話しかけてたのは私だったけど

それでも、最後までしっかり送り届けてくれた先輩

好きです

最後にもう一度伝えたら、

少し振り返って

「早く家入れよ」


その後、先輩の背中が見えなくなるまで
ずっと見送った