きっと月野先輩は湊先輩の魅力を語り合える友達がいなくて、気持ちを爆発させちゃってたんじゃないかな

それなら、語り合える友達ができれば、解決だよね?

「はい!湊先輩のかっこいい所!」

「はっ?えっと、目の下のほくろ…がかっこいい、」

「あー!確かに!でも私は、たまに笑うとできるエクボも好きですよ!」

「ふんっ、まだまだね、湊の冷たい視線のほうが興奮するわ」

「え、興奮はしませんよ」

「ちょっと、あんたから言ってきたんでしょ」

そのあと、近くにあったベンチに座って二人で話す

最初は睨まれたり警戒心がすごかったんだけど、慣れればいつもの優しい笑顔に戻っていた

「あなた、バカでしょう?」

「へ!?」

「だって、普通自分の事、男に襲わせようとした相手となんか仲良くしようなんて思わないけど?」

以前のような、おとなしく可憐な、雰囲気はないけど、言葉使いも酷いし

でも、


「私は、今の月野先輩の方が好きですよ」

「……お人好し」

「それに、先輩を好きな人に悪い人はいないですよ!あ、私と同類ですね!」

「ストーカー女と一緒にしないでくれる?」

言葉は刺があるけど、どこかスッキリしたように笑う月野先輩

月野先輩だって、苦しかったはず

きっと、気づいたら元に戻れなくなっちゃってただけなんじゃないかな?

歪んでしまった心から離れられなかっただけ


「これからは、何でも話してくださいね!どーんと、来いですよっ」

「大丈夫よ」

「ええ!?」

うろたえる私を見て、楽しそうに笑ってくれる
やっぱり、美人さんだなあ

見とれていたら、

「謝ってくる……あの子達に、酷いことしちゃったから、……湊にも」

目を細めて遠くを見ている
瞳からは後悔と悲しみの色が見える

きっともう大丈夫

「羽華ちゃん、ごめんなさい」

帰り際、きちんと目を見て言ってくれた

「あ、それと」

手をふってお別れしていたら月野先輩が振り返る


「きっと、湊には、あなたの声が届いてるから、」

ーーー諦めないでいいのよ

途中、風が吹いてよく聞こえなかったけど、
月野先輩が優しく暖かい笑みで微笑んでいたからきっと、素敵な言葉をくれたんだろうなって思う