何度でも君に好きが届くその瞬間まで

「どうして、そんなことしたんですか?」

「え、わからないの?」

本当に驚いた顔をしてこちらを見ている
細い指を口元に当てて、ゆっくりと話す

「湊に近づくからに決まってるでしょう?最初はなにも言わずに警告してあげてたのに、あなた気づかないんだもん、それなら態度で示すしかないでしょう?」

警告、きっとお祭りで偶然あったとき、ヒロと、私を見て付き合ってるって湊先輩の前で言ったりしたことかな

目の前で先輩と腕を組んだりしたこと?

何も言わない私にイライラしたのか大股でこちらに歩いてきて、グイッと腕を捕まれる

「それに、あなた湊に余計なこと言ったでしょう?今まで私との約束に文句言ったことなかったのにっ、いきなり終わりにしようなんて、おかしいと思ったっ!」

先輩の爪が腕に食い込む


だけど先輩の目から視線をそらさない
最後まで話を聞く


「…思えば、湊がおかしくなったのは、あなたが無駄に何度も告白するようになってからだったっ!どうして、どうしてっ!私にはあんな風に笑ってくれたことなんて、無いのにっ」


ずっと、側にいたのに…
苦しそうに顔を歪めて、下をむく

そっか、そうなんだね

月野先輩は、


「寂しかったんですね」

「……は?」

「月野先輩は湊先輩に見てほしかったんですよね?認めてほしかった、他の誰よりも湊先輩を想ってたから、自分の想いが届かないって、分かったから、縛り付けた、周りを傷つけて」

「……なんなの、わたったような口聞いて」

「私だって、分かってるんです、湊先輩は私の事を好きになることはないって」

だけど、

「それでも、私は真っ直ぐな気持ちで先輩を好きでいたいから、誰かを傷つけるなんてことをする月野先輩は間違ってると思います」

「……」

「……友達になりましょう」

「………はあ?」