何度でも君に好きが届くその瞬間まで

静かに、凛とした低い声が廊下に響く

「話したくて、湊先輩のことで」

息を整えながら、そう言えば、より表情は暗くなって、ゆっくりと私に近づいてきてくれる

「裏庭、行こうか?」

すれ違う時、囁かれて先輩の後についていく

朝の裏庭は少し暗くて、いつもより静かな雰囲気が漂っている

朝露が葉について光っていた




「羽華ちゃん」

今まで前を見ていた先輩がゆっくりと振り向く
冷たい、目でこちらを睨み付けている

「昨日は、無事に帰れたの?楽しいこと、あったでしょう?私からのプレゼント、気に入って貰えたかな?」

目は笑っていなくて、口元だけが不気味に微笑んでいる

やっぱり、月野先輩だったんだね

背中がゾっとする


「最近、物が無くなる事があるんですけど、これも月野先輩が?」

「うん、だって必要ないでしょう?」


先輩のまっすぐな黒髪が風に揺れる

甘い香水が辺りに漂っている


冷たい視線に目を逸らしそうになる

でも、ちゃんと話すって決めたから