何度でも君に好きが届くその瞬間まで

♡♡♡

朝の少し涼しい空気の中で家で握ってきたおにぎりを食べながら、洸君と屋上で先輩を待っている

「羽華、口に米ついてるよ」

唇に手を添えて、取ってくれる
一瞬のことで思わずビクッと反応してしまう

洸君も驚いたようにこちらを見ている
けどすぐにニヤリといたずらっ子の顔になって

「なに、さっきのこと気にしてるの?」

「してないよ?ぜんぜんっ」

座った状態のまま近づかれて腕で逃げ場を無くされるようにして囲まれる

綺麗な顔が色っぽく微笑みながら近づいてくる
首もとを指でなぞられる

「さっきの続き、したいの?」

耳元で呟かれて、また顔を赤くしていたら、

視界の先

いつも、湊先輩より少し早く登校してくるあの人


校舎に入っていくのが見えた


バッと勢いよく立ち上がる
洸君もいきなり立ち上がった私を驚いた様子で見つめている


「ちょ、行ってくるね!洸君、湊先輩のお出迎え、よろしくしていい?」


「え、やだよ!俺も羽華について、」

まだ喋っていたけど、早くしないと見失っちゃうので、急いで屋上を飛び出す

階段を一段飛ばしで降りていく

まだ、人は少なかったけど、途中すれ違う人に、なんだ?って見てれられるけど気にせず廊下を走る


角を曲がった先




「月野先輩っ」



彼女は、ゆっくり振り向く

綺麗な黒髪も同時に揺れる

その顔は冷たくて、いつも湊先輩の隣にいたときの優しい顔じゃなかった


「どうかしたの?」