何度でも君に好きが届くその瞬間まで

ドカッ  ゲシッ


目の前の男子がぶっ飛んでいった
手が離されて、思わず地面に座り込んでしまう



信じられない

だって



「いってぇ!!んだよっ」


「何?また蹴飛ばされたいの」



聞いたことがない、低い声

そっと私を暖かい腕で包み込んでくれたのは
会いたくてたまらなかった湊先輩だった


「………先輩っ、湊、先輩」

「……っごめん、遅かった」

乱されている、私の胸元のシャツをそっと直してくれる

苦しそうにこちらをみて、ぎゅっと抱き締めてくれる

怖かった

先輩が来てくれなかったらっ


「ねえ、きみ」

私も聞いててゾッとする声がすぐ側で聞こえた


「何でこんなことした?」

側で蹴られた腕を押さえながらこちらを呆然と見つめている男子


「……何で九条が」

「答えて」

先輩の事知ってるってことは、やっぱり、うちの生徒なんだ

一瞬考えていたようだったけど、先輩の雰囲気が怖かったのか、ゆっくり話してくれた

「…頼まれたんだよ、柚木羽華を怖がらせろってな」

「誰に」

「………」

ガンっ


「言って」

近くの壁を思い切り蹴る先輩
男子もヒイッと情けない声を出す


「…………春、月野春」