原因はもちろん洸君
片時も私の側を離れないから

移動教室もなんならトイレも…

いつもならサボる授業でも隣の席が洸君だから、どこかに行こうとすれば必ず付いてくる

あの美術室は、先輩の秘密の部屋だから洸君を連れていくわけにはいかない


私の視線に気づいて、ブンブンと手を振ってくれる洸君

私も振り返す


洸君が帰ってきてくれて嬉しいし、これからもまた一緒にいられるなんて本当に夢みたい


だけど



「会いたいよおおお」

このまま、一日中会えなかったらどうしよう…
本当に、干からびてしまうよ

ううっと、足に顔を埋めて泣いていたら

「ふふふ、その願い叶えてしんぜよう!」

「え?」

菜留がポンポンと頭を撫でてくれる

「着替えてきな、まだ体育終わんないから、終わっても私がしばらくの間、神楽坂のこと捕まえとくから」

捕まえとくって…言い方が
洸君には、悪いけど、このまま会えないのは本当に心が枯れてしまう…

「菜留!行ってくる、ありがとう!」

「はいよ!」

私は勢いよく体育館を飛び出した