「昨日、スーパーでさ三咲さんに会ったんだよ、そしたら、今日から主張で三咲さんと達也さんがいなくて、羽華が一人だって聞いたから、行っていいですかって聞いたら、鍵渡してくれて…」

三咲さん、達也さんは、私の両親のこと
確かにパパは今日から主張で家事のできないパパが心配だからと言ってママも付いていくって言ってたはず…


それは、いいけど、

「どうして洸君が来るの?」

ん?と天使の笑顔で答えてくれる


「羽華と学校行きたいからー」

可愛い


いや、いやいやっ


もちろん今日も屋上に行くから、洸君とはずっと一緒にいられないよ
学校までなら私も一緒に行きたい…

というか、


「私がこの時間に起きるってよく分かったね?」

「三咲さんが、教えてくれたんだよ」

ママ…鍵はそんなにホイホイ渡しちゃダメだよ
きっと、洸君に久しぶりに会えて嬉しかったんだろうなあ


「眠くない?」

「眠くない、けど、」

そこで言いかけて、グイッと距離を縮めて
私の頬に触れる


「もう少し一緒に横になろっかな?」

指を絡ませて、引き寄せられる

わ、わぁ

バシンッ


「羽華…痛いよ」

「洸君が悪いっ」


涙目で見つめてくるけど、許してあげません

ふと、時計を見てもう6時を過ぎているのに気づいた

「わあっ、ちょっ洸君着替えるから外でてっ」

ベットから飛び降りて洸君を立たせる
洸君は、ゆるーく制服を着こなしていて、髪型もゆるふわの毛先をかっこよくセットしてあって、準備万端のよう


「えー、手伝うよ?きがえっ」

腰の辺りを殴る

わーわー、騒ぐ洸君を無理やり外に出して着替え始める

これ、いつものバス間に合わないかも…

「羽華、おっきくなったね」

「!?!!」

ドアの隙間から声が…

振り向くとこちらを見て赤くなっている洸君
私は下はスカートはいてたけど、上が…


ドカッバンッ

「羽華っ、カバン置いてきちゃったから取りに戻ってきただけなんだって!」

「知らないっ、窓から捨てておいたから取りに行きなよっ」

ドタバタと準備していたらあっという間に時間は過ぎていき


この日初めて、先輩の観察に間に合わなかった