何度でも君に好きが届くその瞬間まで

「先輩!あの、手!」

「なにが?」

「あの、私はもうずっとこのままでもいいんですけどっ、洸君がいるからっ」

ちらっと、洸君の方を見る先輩


「で?」


で!?さっき話したのに、告白されたって!

あ、この顔、わかってて意地悪してきてるんだ…なんて、人なんだ…

「だって、羽華が繋ぎたいって言ったんだけどなあ?」

顔を近づけてきて、耳元で囁かれる

そう、そうなんだけど!


これからどうしようかと、アワアワしてたら





「離れてくれます?」



先輩と繋いでいた手とは反対の手を引っ張られる

そちらを見れば、洸君が笑顔で湊先輩を見つめている


「羽華と俺が一緒に帰るんで、離して貰えますか?」


「……無理」


「でも、先輩、羽華と付き合ってないですよね?」


「……」


「手、離して貰えます?」



お互いに睨み合ったまま、いや、洸君は笑顔で、先輩に至っては無表情だったけど、雰囲気が悪かった


スルッと先輩の手が離れていく