何度でも君に好きが届くその瞬間まで

見た目によらず少し低めの透き通った声が教室に響く


「神楽坂洸、隣町から来ました、小学校まではこっちに住んでたんで…、」



ん、?



喋るのをいきなり止めてしまった転入生

というか、直前私と目が合ったような…

や、今も合ってるんだけど…
何かしちゃったかな!?会って数秒よ?

クラスメイトもいきなり固まった私達を見てなんだなんだと騒ぎだす


頭の中で勝手にパニックになっていたら、




「………羽華?」


え、と



「はぃ…?」


綺麗な唇から呼ばれた、私の名前

んー、どこかで会ったかなあ?
こんな美青年、会ってたら覚えてると思うんだけど…


「俺!こっちゃん!団地で隣にすんでた!」

さっきまでの洗練された空気を壊すような口調で私に話しかけてくる

そのまま、私にどんどん近づいてくる

ん、こっちゃん?


こっちゃん、、




「あーー!!」

「覚えててくれた?うれし」

にこっと、目の前で天使が微笑んでいる…
でも、こっちゃんて確か…

「女の子じゃ…、?」

「………え」

こっちゃんこと、洸君が笑顔のまま固まる

突然の事に周りの人たちも何が何だかついてこれていないようで、私と洸君を交互に見つめてくる


「…俺の事、女だと思ってたの?」

ひきつった笑顔で自分の顔を指差している

「…はぃ」

「はああああっ…」

深いため息……