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「あー、疲れたー」

何だかいつもより騒がしい様子の教室
窓際の私の机で、菜留がグデンとしていた

「どうしたの?朝練?」

「そそ、珍しく朝練合ってさー、そしたらなんか、廊下にイケメンがいるって、水飲みに行ってた一年が騒ぎ出して、コーチに止めてこいって、怒られるわ、もーチョー疲れた」

バスケ部の菜留

イライラしながら、飴をガリガリ噛んでいる
イケメンは、お前らに興味ねーよっ、ブサ女
なんて、汚い暴言を吐き散らしながら

あれ?でも、イケメンって誰の事だろう
学校の王子、湊先輩は、私とギリギリまで一緒にいたし、裕先輩も、まっすぐ教室に向かってたと思ったんだけど、


「ねぇ、菜留、イケメンって、誰の事…」

「知らなーい、一年止めるのに必死だったから、羽華おいでー」

ぎゅうっと抱きつかれて頭を撫で回される
相当お疲れなんだね…

でも、うちの学校にあの二人以外に騒がれるイケメンなんていたかな?

んー、と頭を悩ませていたら

「あー、都先来たー、じゃあね」


都先こと、担任のおじいちゃん先生都本先生が来ると菜留は、自分の席に戻っていった

私も自分の席に着いて都本先生が朝の連絡をするのを待つ

都本先生は、ゆっくり、すごくゆっくり話すから、みんな先生が何を言っているのか大人しく、静かに耳を澄ませる


いつもなら




「え!?ちょ、都先の後ろ!」

「うお!イケメン…だけど、なんつーか、可愛くね?」

「誰!なんか、泣ける!」


ザワザワし始める教室
それもそうだよ、だって都本先生の後ろには
絵本から出てきたような美青年が立っていたから


騒がしい教室を無視して、先生は、教壇に立つ
自然と静まり返る教室

皆、先生の言葉を待つ

「えー……っとねえ、こんな、時期に驚くと思うんだがぁ、転入生だ、これ、ね、はい、自己紹介」

視線が美青年に移る


色素の薄いクリーム色の髪、陶器のような肌
形の整ったクリっとした男の子にしては大きな綺麗な瞳は、髪の毛と同じように茶色、でも、背や体格は男の子でスラッとした体型はモデルのよう

全体的に何だか神秘的な雰囲気だなあ
かっこいい、けど、どちらかと言うと可愛い?


どちらにせよ、湊先輩にしか、興味のない私は転入生の自己紹介にぼーっと、耳を傾ける