眩しい太陽が射し込む玄関ホール

先輩の悪態でファンの皆さんがスゴスゴ帰っていった後

「湊先輩!寝癖ついてますよ?写真撮っていいですか?」

「裕、写真とらせてほしいって」

「いいよー、おいで羽華ちゃん!」

バシッ

「痛てぇ、何でだよお!」

「湊先輩、ここ座ってください?直してあげます!」

「いや、だいじょ、」

「座ってください」

「俺先行くから!行っちゃうから!」
ふてくされた裕先輩は、ドスンドスンと階段を登って行ってしまった


朝日の照らすホールのベンチに無理やり先輩を座らせる

鞄からポーチを出して、寝癖直しセットを取り出す

「……そーいうの、持ってるんだね」

「あー、朝早いので、先輩を待ってるときに、屋上で直すからですよ?」

「ストーカーやめればいいだけなんじゃ…」

先輩の正面に立って

「じゃあ、失礼します!」

「んー」

髪に手を当てる
先輩の髪めっちゃ、サラサラだあ
少し長い髪をいつも、耳にかけているので、そっと、耳に髪をかける

前髪は少し横にずらして…

パチッと目が合う

あ、思ってたより距離近いかも
気づいたら、顔が熱くなってくる


「お、終わりました!」


今さら恥ずかしくなってきて、すぐに離れようとした


けど


グイッ


「おいで?」

「!?」


腰に腕を回されて、動けなくなる
先輩の足の間に挟まれて、完全に囲まれている状態、下から見上げられて、ぱっと、持っていた櫛で顔を隠す


「自分から近づいてきたくせに、照れるの?」

「そういうつもりじゃ、」

「顔、見せて?」


先輩に手をずらされて、先輩と目が合う
手は、先輩の肩に置かれる


「顔、真っ赤」

フワッと笑う

「は、反則です…それに、下から見上げられたら顎が二重顎に見えて女子は嫌なんですよ!」

「大丈夫でしょ、元からっ…!」

「先輩が悪いです」

一発チョップを食らわせる

するとお腹辺りに顔を埋めてきた

いつになく甘い先輩に私はもう、たじたじ
もうすぐ、朝礼の時間だからか、周りには人はいない


暖かい光に包まれて、二人だけの空間みたいだなって思う

思わず、先輩の頬に触れてしまう


「先輩…」

「ん?」


好きです

いつもなら、すぐに伝えてた