♡♡♡
絵を描く手が、なかなか止められず気づいたら運動部も、美術部の先輩方も帰ってしまっていた帰り道
邪魔をしたら悪いと思ってくれたみたいで、部室のドアに先に帰りますという置き手紙と、最終下校時刻ギリギリに大きなアラームがかけられていた
アラームが鳴るまで全然気づかなかったから、ありがたいけど…
一人きりの部室でいきなり大きな音が鳴るのは怖かった…
うっすら暗くなった夕方の空
周りには人はいない
暗いけどまだまだ暑いなーって、思って制服をパタパタさせる
ローファーの靴底を鳴らしながら歩く
なんとなく、寂しくなる
帰りはなんだかんだ言って、湊先輩と帰ることが増えてたから
ぼーっと、空を見上げる
先輩、月野先輩と、どんな話をしたんだろう
月野先輩も、どうするんだろう
ぽけーっと、歩いていた
その時
「?」
視線を感じて、後ろを振り返る
けど、誰もいない
なんか、嫌だな
少し速足になる
どうしよう
お兄ちゃんに電話しながら、帰ろうかな
あ、でもバイトって言ってたっけ
後ろから感じる視線
走ろう
そう思ってぐっと足に力を込めたんだけど
「ねえ」
「やっ!!」
腕を掴まれて思わず声をあげてしまう
怖いっ
ぎゅっと、目をつぶったんだけど…
「羽華?こっち見て」
「……先輩」
驚いてこちらを見つめていた湊先輩と目が合う
その手は私の腕をつかんでいる
な、なんだ、先輩かあ
「驚きましたあ」
「……何、なんかあった?」
「いえ!それより、話してたんじゃ?」
今度こそ、すぐに答えたから疑われることもなく…いや、そんな訳がなく、じとっとこちらを睨んでしばらくしてから、
「終わったよ」
「……そうですか」
「もういいよって、どうせもう、卒業だからって」
月野先輩…本当にこれで終わりでいいのかな?
だってきっと
「先輩の事、きっと….」
「ん?」
「いえ、」
月野先輩本人に確かめないと分からないこともあるよね
これはまだ、私の中にしまっておく
「…だけど、まだ、何かしてくるかも」
隣を歩いていた先輩が、止まってこちらを真剣な顔で見る
「何かあったらすぐ言う、返事」
「はい!」
絵を描く手が、なかなか止められず気づいたら運動部も、美術部の先輩方も帰ってしまっていた帰り道
邪魔をしたら悪いと思ってくれたみたいで、部室のドアに先に帰りますという置き手紙と、最終下校時刻ギリギリに大きなアラームがかけられていた
アラームが鳴るまで全然気づかなかったから、ありがたいけど…
一人きりの部室でいきなり大きな音が鳴るのは怖かった…
うっすら暗くなった夕方の空
周りには人はいない
暗いけどまだまだ暑いなーって、思って制服をパタパタさせる
ローファーの靴底を鳴らしながら歩く
なんとなく、寂しくなる
帰りはなんだかんだ言って、湊先輩と帰ることが増えてたから
ぼーっと、空を見上げる
先輩、月野先輩と、どんな話をしたんだろう
月野先輩も、どうするんだろう
ぽけーっと、歩いていた
その時
「?」
視線を感じて、後ろを振り返る
けど、誰もいない
なんか、嫌だな
少し速足になる
どうしよう
お兄ちゃんに電話しながら、帰ろうかな
あ、でもバイトって言ってたっけ
後ろから感じる視線
走ろう
そう思ってぐっと足に力を込めたんだけど
「ねえ」
「やっ!!」
腕を掴まれて思わず声をあげてしまう
怖いっ
ぎゅっと、目をつぶったんだけど…
「羽華?こっち見て」
「……先輩」
驚いてこちらを見つめていた湊先輩と目が合う
その手は私の腕をつかんでいる
な、なんだ、先輩かあ
「驚きましたあ」
「……何、なんかあった?」
「いえ!それより、話してたんじゃ?」
今度こそ、すぐに答えたから疑われることもなく…いや、そんな訳がなく、じとっとこちらを睨んでしばらくしてから、
「終わったよ」
「……そうですか」
「もういいよって、どうせもう、卒業だからって」
月野先輩…本当にこれで終わりでいいのかな?
だってきっと
「先輩の事、きっと….」
「ん?」
「いえ、」
月野先輩本人に確かめないと分からないこともあるよね
これはまだ、私の中にしまっておく
「…だけど、まだ、何かしてくるかも」
隣を歩いていた先輩が、止まってこちらを真剣な顔で見る
「何かあったらすぐ言う、返事」
「はい!」

