グイッと、湊先輩の方に引き寄せられる
上を見上げれば、裕先輩を睨み付ける先輩のかっこいい顔が

下から見上げてもかっこいい

じゃなくて

「裕先輩は、静かにしててくださいっ!湊先輩!私が言いたいのは、先輩はこのままだと青春を謳歌しないまま、高校生活が終わっちゃうってことなんです!」

「ふーん」

「はい、だから、私が彼女になろうかなって」

「……な、」

「それは、無理だって分かってるので、とりあえず、月野先輩と話してみようかなって」

「……だめ」

歩くのをやめて、こちらを見つめる先輩
苦しそうな、ぐっと何かを考えているような

本当に月野先輩と話してほしくないんだろうな


どうしてダメなのかは分かってるけど、聞いてみる

「どうして、ダメなんですか?」

「羽華に何かするかもしれない、から」

頬にそっと、触れて撫でてくれる

「俺が、先に話すから」

「じゃあ、その後」

「だめ」

「きっと、先輩に言われるより他の人に言われて気づくこともあると思うんです」

「……」

「…だめですか?」


身長の高い先輩を見上げれば、ぐっと何かを堪えるような顔をしていて、大きな手で顔を覆われる


「…その顔反則」

「え?」

はあーっ、と長いため息


「わかった、だけど無理しないでね」

「先輩こそ、女の人の尻にひかれるなんて、らしくないので、やめましょう?」

「別に、言うこと聞きっぱなしだった訳じゃないから」

「分かってますよ、先輩が優しいことなんて」

ぎゅーーっと、抱きつけば、ポンポンと頭を撫でてくれる

その後は、なかなか離れない私の頭を鷲掴みにして、離されたけど