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「それからは、今も同じ状況」

視線をしたに下げて、笑う姿は苦しそうだった

「最近、大人しいから、油断した」

先輩に回している私の腕にそっと触れてくる

「あの時、羽華に酷いこと言って傷つけたのも、春に“お願い”されたからだった……ごめん」

あの日、先輩に拒絶された日

きちんと理由があったんだね

私が月野先輩に傷つけられないように自分が悪者になったんだね


「だから、羽華が、春に転ばされたのはきっと俺のせい、いつまでも区切りをつけない、俺の、」

「それはっ、違います」

思ってたより大きな声が出てしまう
驚く先輩

だって、おかしいよ

「湊先輩は、優しいんですっ、周りの人も辛かったんだろうけど、先輩だって、ずっと辛いでしょう?卒業するまでなんて、それまで先輩は、自由になれないなんてっ」

先輩を見上げる


「あとっ、転んだのは私がドジったからです!忘れてくださいっ、」


先輩が、私の事を突き放したあの日のこと

あれは、先輩の優しさだったんでしょう?
先輩に近づいて月野先輩に意地悪させないように

だけど、

「私は何があっても、先輩の側、離れませんからっ」


先輩は、驚いたまま

私も、はっとする

「……これって、私も月野先輩と同じなん
 じゃ……」

でも、私は誰かをいじめてないし、ストーカーはセーフかな?!

分からなくなってきたっ


焦っている私の頭を撫でて、落ち着かせてくれる


「先輩?」

「春と話してくる」


先輩の顔はすっきりして見えて、初めてちゃんと笑ったんじゃないかって心配になるくらい、なんだか眩しかった

「笑顔、初心者」

「口、塞ぐよ?」

「むぐっ、すみましぇん」

とりあえず、今は寝な

布団を被せられる

先輩も、布団にはいったまま
近い距離に熱が上がってしまいそう

うぅっ、と小さくなっていたら





「…だからさ、もうちょっと待ってて?」


上から真剣な声が聞こえた

何をだろう?

聞こうと思ったけど、頭をしっかり先輩の腕に包まれていて、上を向けず

ポンポンと、背中を優しく叩かれていたら
いつの間にか寝てしまっていた

そういえば、私熱あったんだった

遠くなる意識の中で考えていたら

「ありがとな」

先輩の声が聞こえた気がした