「じゃあ、なんで下の名前…」

「最初の頃、下の名前で呼んでって言われた時、嫌だって断ったら、クラスの奴らがいる前で、号泣されて、めんどくせー事になったから」

心底、うんざりした顔で話す先輩

思わず、ポカーンとしていたけど、
まだまだ、謎が!

「じゃあ、えっと、月野先輩といるとき楽しそうですよ!とっても!」

「そんなことはないと思うけど……それも、話すと長い、けど、聞いてくれる?」

コクンコクンと頷く

これから先輩が話してくれた事で全てが繋がった


「入学して、1ヶ月、あいつ俺に告白してきたんだ、だけど、たった1ヶ月で俺のどこを見て好きになったんだよって思って断ったんだ」

それが始まり


「まあ、そのあとも普通に話しかけてくるから、別に気にしてなかったんだよ、そこは」



だけど、異変に気づいたのは、少ししてから

「なんか、俺とあいつが付き合ってるって噂が流れてて、問い詰めたんだよ、どう言うことだって、そしたら、そんなことしてないって、泣きわめいた、あー、もうめんどくせー」


「んで、もう関わってくんなって、言った」


終わり?そ、そんなことが…
これだけでも十分、びっくりしてた

のに、


「この一言が、悪かったんだ」

「え?」

先輩が冷たいのなんて、いつものことじゃ…

「次の日から、俺の隣の席の女子とか、廊下でぶつかったときにちょっと話した女子とかがさ、嫌がらせ受けるようになったんだよ」

嫌な、予感

黙って先輩の話に集中する


「目に見て分かるくらい、ひどい事」

言った先輩は、ひどく悲しい顔をしていて
どれだけの事があったのか、想像つかない

「なんで、こんなことなった?って思ったときにさ、あ、もしかしてって、そんで調べたら案の定、春だった」

月野先輩?

「今度こそちゃんと問い詰めたんだよ、そしたら、『私は、悪くない、湊が他の子と話すから、ちょっとお仕置きしただけだよ』って」

どういうこと?だって、そんなの

「付き合ってもいないのに…」

「ああ、だけど、あいつの中じゃ違ったんだよ、だけど、俺のせいで周りの奴らが嫌がらせされるのは納得できないからやめろって言った」




▽▽▽▽


『傷つけちゃいけないの?』

『ああ』

『……そう、じゃあさ、お願い聞いてくれたらいいよ?』

その時の、春の顔は、ひきつって見えた

こいつもこいつの中で色々おかしくなってたのかもしれない


俺が願いを聞けば、周りの奴らがなんともないんならそれでいい

そう思って、頷いてしまった



『早く言えば?』

『湊が、そうだなあ、卒業するまで私の言うことなーんでも、聞いてくれるなら、ひどいこと、しない』

めんどくさい

だけど、元はと言えば、俺があんな冷たい言い方しなきゃよかったから仕方ない

そう思って

頷いたんだ



だけど、バカだった、本当に


その日からまるで付き合ってるみたいに片時も離れず俺についてくる

うざい

しばらくは我慢してた

けど、一度破ってしまった、約束を

そしたら、委員会が同じだった女子が嫌がらせされた、何度も

その子はしばらく学校に来れなくなった

すぐに、春のがやったんだって気づいた
後悔した、俺のせいでって