何度でも君に好きが届くその瞬間まで

◇◇◇

そして、今

『……』
『……』

だんまり合戦が続いております

負けるわけにはいかない

足には、テーピングがされていて、湿布も張ってある

気づいた先輩は、すぐに私を椅子に運んでくれて、座らせ方は雑だったけど…

てきぱきとテーピングをしてくれた

その間、ずっと睨まれてたけど

「何、言えないようなことされた訳?」

「何もされてないから、言うことが無いんですよ」


はあ、とまた、ため息

心配されているって分かるから、嘘を付いていることを申し訳なく思う

「もう、いいや」

「…私は先輩が好きです」

「熱が、脳にまできてるな」

ぽんぽん、と頭を撫でてくれる

いつもどこか冷たい先輩の手は、たまにすごく暖かい


ついつい、へにゃと笑っていたら


「…そういう顔されると困るんだけど」

「えっ、変顔したつもりは…」

そんなにたるんでたかな!?


じっ、と見下ろしてくる先輩

突然、私の座っている椅子をぐっと引っ張って
先輩の方に引き寄せられる

長い足の間に収まれる
腕を腰に回されて、一気に距離が縮まる


「先輩、風邪うつりますよ?」

「うん、だから、ここで休みなよ」

コツン、とおでこをくっつけてくれる

「熱い」

「先輩は、少しいつも冷たいですね?」

「羽華が熱いから、ちょうどいいじゃん?」