何度でも君に好きが届くその瞬間まで

これじゃあ、私が湊先輩のこと取ったみたいに
見えるでしょう!

「先輩、反省してください!」

「何が」

しれっと、走り続ける先輩

繋いだ手から、熱が伝わって、心臓が波打つ


月野先輩じゃなくて、私の所に来てくれた

私の手を引いて前を走る先輩の背中が何だか歪んで見える

嬉しい、嬉しいの、これだけで十分、足の痛みが和らいだ気がするよ


《一番、柚木選手!!学校の美男美女、見事一番乗りです!さてさて、お題はー…》


お題が読み上げられる

静まり返るグラウンド、そしてそれは一気に騒がしくなった

《えーっと、ちなみにどちらがどちらをストーカーするんです?》


「はい!私が先輩をです!」

「発言を自粛した方がいいんじゃない?」


《聞かなくても、わかりきってましたね!》

司会者の発言にどっと、笑い声でグラウンドが沸く

無事に走りきれてよかったなあ


ほっとしてたのもつかの間