「羽華ちゃん!大丈夫?」

駆け寄ってきてくれたのは、同じクラスの
彩也香ちゃん

そうだ、彩也香ちゃんも借り物競争だった

浮わつく頭を回転させて思い出す

「…うん!全然大丈夫だよ?」

心配かけたらいけない

これから、リレーだってあるのに

ぐっと足に力をいれて立とうとした


けど、



ズキンズキン!


「…っ!」

「羽華ちゃん!」

また倒れそうになったところを彩也香ちゃんが支えてくれた


足捻ったかな

かろうじて立てる


転んだ瞬間は誰も見てなかったみたいで、誰も月野先輩がしたなんて、気づいていない様子


周りも心配して、声を掛けてくれる


走らなきゃ


終わったら冷やせば、きっと走れるはずだよ


彩也香ちゃんに支えられながらスタートラインに立つ


「あの、さ」


彩也香ちゃんがこそっと私の耳に近寄る


「月野先輩、だよね?」


「……」


きっと見てたんだ、彩也香ちゃんは


だけどここで先輩を攻めても仕方ない

転んでしまったのは、私だから


「大丈夫だよ、勝つから」

にこっと笑えば、不安そうな、表情でうなずいてくれた

うまく、走れば大丈夫

上に着ていた薄い白色のパーカーをゆっくりと脱いで、半袖になる