そんなことで、できた友達ってなんなんだろうって思い始めてたある日



私は美術部で、その日は、外で1人風景を描いていた


─────……ザアアアッ

いきなり降ってきた雨





(わぁっ、スプレーとれちゃう!)



絵を雨から守りながら担いぎ、慌てて美術室に戻ったけど、凄い勢いで降ってきた雨のせいで完璧にスプレーは落ちていた



暗く、静かな美術室



運良く他の部員はもう帰っていたみたいだった




……そう、思ってたのに


──ガタッ…


『え』

『…』


いきなり現れたのは、当時中学三年生の九条先輩だった

(あっ!髪!!)

あわてて隠したけど、もう…
なぜか泣きそうになって、下を向いていたら

(ええええ!ち、近付いてくる?)

足音はどんどん迫ってきて、私の目の前で止まった



そして、優しく私の髪をすくって




『綺麗だね、染めてる?』





…き、きれい?


何を言ってるんだろうこの人は…


『あ、あの、地毛で…』


少し驚いた顔をした先輩


でも、その後わずかに微笑んで



『太陽みたい、あったかいね』




そう言って笑ったんだ





────『柚木さん?なんなのその頭、目障りなんだよね、いくらなんでもそれが地毛なんて、誰も信じないよ?』



────『おとなしそうに見えて、裏ではすごいらしいよ』


────『人の彼氏とったんだって』






みんな、皆信じてくれなかったのに



この人は、私の一言だけで、


『その、気持ち悪いとか思わないんですか?』

『?思わないけど』


不思議そうな顔で当たり前のように答えてくれた先輩


珍しい、予想外の反応に驚いて、固まっていると先輩はどこからかタオルを持ってきて私の頭に被せると、



『じゃあね』



優しく微笑んで、美術室をでていった