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「羽華ー、合コン行ってみれば?」

「え、行かないよ?」


菜留がそんなことを言い出したのは午後の授業が自習になったとき


「んー、でもさ羽華、天然でバカでアホで気づいてないけど、めっちゃかわいいよ?」

「や、やややなに言ってるの??」

私はどちらかというと、肌は白くて、お母さんのおかげで、スタイルもいいと自分でも思ってたりする


でも…

「この髪の色、地毛だって知ったら、どんな顔がいい子でも、みんな嫌になっちゃうよ」

自傷気味に笑えば、菜留は悲しそうに目もとを下げた


私の髪の色は、はちみつ色に似ていて、だけどそれよりもずっと明るく見えるそれに加えて癖毛で柔らかくウェーブがかかっていて、昔からよく生徒指導の先生に怒られることもあった

この髪の色で中学校では、いじめられることだってあった




『ねぇ、あれ目立とうとしてんの?』

『地毛って言ってるけど、本当ばどうなんだろうね』




クラスでも、学校の中にいれば向けられる好奇の目、それはけっして優しいものではなかった


特に上級生からは、目立っていたのが気にくわなかったのか、酷い嫌がらせをされた


染めてる訳ではない、地毛なんです、何度も言ったけれど、信じてくれるのは先生方くらい





なんで、こんな髪色なんだろう
やだなぁ




母譲りの綺麗な蜂蜜色の髪

小学校の頃は羨ましがられる事の方が多かった
私も自分の髪の色が好きだった


だから、中学に入って初めて髪の事を聞かれたときに、地毛だと答えた時、周りの視線が鋭いことに、驚いた



人とは違うことが悪いなんて、可笑しいでしょう?



初めはそんな気持ちでいたんだけど、段々と周りの圧に耐えられなくなった


だから、2年のクラス替えの時に黒スプレーで
毎日染めて学校に行くようにした

完全に染ずに、スプレーにしたのは、お母さんが悲しむと思ったから、完全には染められなかった


人数の多かった学校だったから、時間がたって自然と私の噂もなくなってきて、そしたら、友達だって出来て、いじめられることもなくなった