そこからは無言だった


もう少しで家だなあ


そう思っていたら、樹先輩が振り返った



「羽華、ごめん」



「どうして謝るんですか?逆に私の方こそ…
 先輩の気持ち知ってるのに、フラフラし
 てる、私は最低なんです…」


つい、俯いてしまう


先輩は、優しいのにその気持ちに私はこたえられない



「それは、違うよ」



先輩は、優しく顔をあげさせてくれる


「俺は羽華が九条のことを好きでいるみたいに、羽華の事が好きなんだ、だから羽華には、幸せになってほしい」



そこで、先輩に引き寄せられた



「それに、今日みたいなときは、慰めるよ」


それにさ、



「俺はいいんだよ、もう、だけど、今日みたいに羽華が泣く事が増えるなら、九条から取っちゃうかもだけどね?」


あ、諦めた訳じゃないよ?そう言って何度も優しく撫でてくれる先輩


九条先輩から私を取るって言葉はおかしいと思う

だって

二人でいたってことは九条先輩は月野先輩の事が好きなんじゃないかなあ

急いで帰っていったのも月野先輩に早く会うためだったのかも



だったら、私も九条先輩を応援するよ

この間そう決めたばっかりだったから


だから今日だけ、




「うぅ、うーっっ…」




樹先輩は私が泣き止むまで優しく撫でてくれた