「この間も、二人でいたしね!そういうこと
 か~!」


九条先輩の腕にくっついて嬉しそうにはしゃいでいる月野先輩


嫌だよ

くっつかないで



言いたいけど、言えない


私にはそんな資格ないんだ



それに、九条先輩も月野先輩から離れないし

付き合ってはいないけど、きっとお互い両思いなんだろうな



もう、帰りたい…





「羽華と俺は付き合ってないよ」





私の前に立って、そう言ってくれたのは樹先輩
その背中は怒っているようにも見えた


「俺が、無理に誘っただけ」


先輩は、やっぱり優しい

最低な私の事も庇ってくれる

樹先輩にこんなことを言わせてしまった私は最低だ


「九条」



なんだかムッとしている月野先輩を無視して九条先輩に近付いていく



「お前も、フラフラしてんなよ」



さっきから何も言わない九条先輩

フラフラ?


樹先輩、どういうことですか?

聞こうとしたけど、樹先輩に手を引かれて、そのまま、そこを後にする



離れるとき、九条先輩を振り返った



いつもと変わらない様に見えたけど



その顔が寂しそうに見えたのはきっと私の気のせい