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「先輩、さっき誰か知ってる人いたんですか?」


様子のおかしかった先輩

花火が終わった後、送ってくよって先輩は言ってくれて、今は家までの帰り道の河川敷を歩いていた


周りにはまだ、人がいて少しだけ込み合っている

少し前を歩く先輩は、どこか焦っているように見える


「いや、なんでもないよ」

誤魔化すように笑う


んー、何かあったよね?これは



考えられるのは…




「…先輩、二股ですか?」



「……え?」

「本当は彼女いるのに、お祭り、私と来てるんじゃないですか?それで、さっき彼女を見かけて…」

「それは絶対ないよ」


可笑しそうにケタケタと笑う先輩


確かに私と来ることは別に悪いことじゃないよね、だって、私達は付き合ってるわけじゃないから

いやいや、彼女さんからしたら、女の子と二人でお祭り来てる時点でアウトだよね!?


「先輩!私、後ろから刺されるなんて嫌ですよ!」

「羽華は、俺が二股しそうに見える?」

「んー、先輩は優しいです」

でも、

「優しいさの裏に何があるかわかりませんから」

「そろそろ、泣くよ?」

とは言いながら、なんだか楽しそう



じゃあ、何でだろう?

うーんと悩んでいたら





「ぷっわ!」



いきなり止まった先輩にぶつかってしまった



「先輩、ごめんなさい!」



謝ったけど、先輩はこっちを見ない
何かから、私を見えないように背中で隠すように立っている



「先輩?」


気になってひょこっと背中の影から覗いてみる




だけど



樹先輩の優しさに気づかなかった私はバカだったんだ








「く、九条先輩?」






そこにはこちらを見たまま動かない




九条先輩と








月野先輩がいんだ