あちこちで歓声があがる

みんな空を見上げて、花火があがる度に盛り上がり、カメラをむけている


「ねえ、先輩!すごいですね、今度の美術部の展示の題材、花火にしません?」

パッと、隣をみると

先輩は、花火を見ていなかった

「先輩?」

「え、ああ、そうだね」

なぜか、苦しそうに笑う先輩

何かあったのかな?

キョロキョロと周りを見てみる


特に何かあるわけじゃないけど…





視界が急に暗くなる




「っ先輩?」



「羽華、花火だけみてな」



隣にいる先輩が、そのまま横から私を抱き寄せて、後ろに回している手で上を向かせてくる



ドクン  ドクン


先輩の胸に顔があたって、鼓動が伝わってくる


近い…


でも、いきなりどうしたんだろう



腕が回っているから、辺りを見渡そうにも
首が回らない



諦めて最後まで花火を楽しんだ