「…もう、なんか食べたの?」

「えっと、りんご飴と、たこ焼きと焼きそば、あとはー…」

「ははっ、食べすぎじゃない?」

肩を震わせて笑っている

た、確かに、九条先輩にもかなり笑われたけどっ!

「だって、せっかく来たんですから沢山食べないと!」

「だけど、もう、お腹いっぱいなんじゃない?」

「まだまだですよ!」


ぐいっと、先輩の手を引いて歩く

「射的!負けた方は好きなもの奢る、でどうですか?」

「いいね、きまり」

屋台のおじさんに三百円を払う

わー、勢いで言っちゃったけどやったことないんだよなあ


これ、どうやって打つのかな


よくわからなくて、くるくる回していたら


「羽華、こうだよ」


後ろからフワッと先輩に包まれて、鉄砲を構え直してくれる


「はい、打ってみて?」


耳元で優しい声が聞こえる

そっと離れてくれたけど、少しだけまだドキドキしている

うーん、どれがとりやすいかな


小さいお菓子にしようかな


力を込めて


パンっ


軽い音と共に小さなお菓子の箱がコテンと転がった

「おお!姉ちゃん上手だね!」

見ていた屋台のおじさんが大きな拍手をくれる

当たった!わーいっ


笑って先輩を振り替える


「うわ、どや顔」


「先輩、負け惜しみですか?」

調子に乗って樹先輩を挑発する

先輩は見ててよと言って鉄砲を構える


パンっ



「あたり!兄ちゃんもやるな~」



当たった…


これじゃあ、


「引き分けじゃないですか!」

詰め寄る私に、

「じゃあ、はい、お菓子あげる」


くれたのは、今先輩が取ったチョコがたくさん入った箱