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駅までの道のりをぼーっとしながら歩く

周りはお祭りに向かう人で賑わっている

先輩、大丈夫かな


ぐるぐる考えてしまっていたら、いつの間にか
待ち合わせ場所についていた


人が多くて樹先輩がどこにいるのかわかんないなあ

でもまだ時間はあるから、来てないかもしれないな



そう思って、近くのベンチに座っていようと思ったら



「わあ!」


「羽華、見っけ」


樹先輩!

後ろからいきなり抱きついてきたのは、黒のスッキリとしたパンツに黒のおしゃれなTシャツの上に、ジーンズ素材のジャケットを着こなした先輩だった

樹先輩だけが暗くなってきた中で光って見えた


九条先輩の時も思ったけど、周りからの視線が痛いなあ


さながらモデルに見える先輩



本人は全く気づいていないのかニコニコと話しかけてくれる

「浴衣、なんだね?」

「はい!頑張って着ましたー」

「似合ってるね、かわいい」


素直に誉めてくれる先輩に今日初めて誉めてもらえたことを素直に喜ぶ

「九条とは、どうだった?」

樹先輩には、九条先輩と行くことを言っておいた

黙っていくのは違う気がしたから

そしたら、頑張っておいでって笑顔で言ってくれたけど、きっと本当は辛かったんじゃないかなって勝手に考えてしまう

「九条先輩は、浴衣、誉めてくれませんでした」

「ははっ、もったいないなあ」

こんなにかわいいのにね?

そう言って、首の後ろを指ですっとなでてくる


「ひゃあっ」


「さ、行こ?」


わかっているはずなのに何か?って顔をして笑っている先輩

先輩って、こんなに意地悪だったかな?

告白されてからはなんだか、距離が近くて緊張してしまう

優しいのに代わりはないんだけどね


先輩のとなりに並んで会場に向かって歩きだした