そう思って首を振ったフィアナだが、エリアスはほわほわと笑うだけだ。 「大丈夫ですよ。心配しなくても、私、結構偉いんです。宰相が堂々とご案内しているお客人に、文句をつける者などここにはいません」 「うわぁい、潔い職権乱用! じゃなくて! いまはそんなことをしている場合じゃないですよね!?」 「大丈夫、大丈夫っ」 鼻歌でも歌いだしそうなエリアスに腕を引かれ、フィアナは引きずられるようにして敷地内に足を踏み入れたのだった。