「理解されづらい恋だというのは理解しています。しかし、諦めるための理由を100個ならべる暇があれば、願いをかなえるための方法を私は模索します。……ともあれ、今はとにかく、フィアナさんのことをもっと知り、私のこともたくさん知っていただきたい。それが楽しくて、仕方ありませんから」
言葉をなくしたマルスはしばし呆然とし、それから手元の皿に視線を落とした。
小さい頃から店を手伝い、たくさんの客を見てきたからわかる。エリアスはうそをついていない。本気でフィアナに惚れ、関係を築こうとしている。
(だったら、俺が口出す問題じゃないのか……?)
混乱する頭で、マルスは考えた。
大切な幼馴染を軽んじ、傷つけようとするような男だったら許さない。そう思っていた。
だが、そうじゃないのなら。純粋にフィアナに恋をし、想いを告げるのなら。それを受け取るかどうかは、フィアナの自由だ。結果がどうなろうと、そこに正しいも間違いもない。ましてや、第三者に過ぎないマルスが判決を下せるようなことでは、断じてない。
第三者は第三者らしく、外から傍観するのが関の山。そうやって、フィアナが誰かに奪われていくのを横目で見ていることしか――。


