「どういうつもり、といいますと?」
「可愛く首傾げるんじゃねえ! 誰向けのサービスだ、それ!?」
「もちろんフィアナさんです。一瞬、こちらを見ましたから」
「見てねえし、仮にこっち見たとしても、そんなとこまで見えてねえから!」
「何をおっしゃいますか。いつ何時、どんな瞬間が想い人の記憶に残るかわからない以上、常に注意を怠るべきではないと私は胸に刻んでいます!」
「だったら、その言動をどうにかしろ!!」
ぜえはあと息を吐き、疲れ果てた様子のマルス。初対面にもかかわらずここまでマルスを消耗させるとは、さすがはエリアスといったところだろう。
そんなマルスに、エリアスは胸に手をあてて目を閉じた。
「先ほどの問いに戻りましょう。――どういうつもりかと、私に問いましたね。ならば答えはひとつ。私は真面目です。大真面目です」
「……は?」
「私は真剣に、フィアナさんに恋しています」


