フィアナの幼馴染のマルスと、フィアナに絶賛アプローチ中の宰相エリアス。珍妙な組み合わせでカウンターに残されたふたりの間には、しばし沈黙が落ちていた。
「何か御用ですか?」
「っ!」
先に口を開いたのは、エリアスのほうだった。本日の日替わりランチメニュー「オムライス」に舌鼓を売っていた彼だったが、ふとスプーンを置いて優雅に口を拭うと、びくりと表情を硬くするマルスに微笑みかける。
ややあって、マルスは慎重に答えた。
「何って、何が?」
「いえ。先ほどからずっと、お食事の手も止めて私をご覧になっているので、何か言いたいことがあるんじゃないかと……。それも、今にも私を射殺さんばかりの目で」
「悪いけど、目つきが悪いのは生まれつきだ」
おやまあ……とエリアスに同情され、マルスは若干いらっとした。


