そんなときに限って、テーブル席のお客がフィアナに手を振った。 「お嬢さーん! 注文いいですかー」 「はーい! ただいま!」 明るく返事をしながらも、フィアナはちらりと目の前のふたりを見る。だが、いくら二人きりで置いていくのが心配だからといって、他のお客を疎かにすることはできない。 後ろ髪を引かれる心地がしつつも、フィアナはテーブル席へと小走りで駆けて行ったのであった。