まるで大人のイイ女のように、エリアスをさらりとやり込めてやる様を想像し、フィアナはひとりほくそ笑む。これはちょっとした仕返しである。いつもいつも、エリアスのペースに載せられて振り回されてばかりだから、たまにはスマートに受け流してやるのだ。

 俄然、闘志に満ち満ちたフィアナは、エリアスが店に顔を出すのをソワソワと待ちわびた。キュリオの酒も、三杯目が空く。これまでのことから鑑みるに、そろそろエリアスが到着してもおかしくない頃合いである。



 けれども閉店まで待っても、その夜エリアスは店に姿を見せなかった。