別室で、撮影をするのに

「ごめん。この子借りていくね」

「え?でも、愛ちゃんこれから撮影でしょう?」

「そう。だから連れて行きたい場所があるの」

まぁ、あたしの撮影場所だけど

「愛ちゃんがそう言うなら」

そう言うと、あたしは彼女の手を取って、自分の撮影スタジオに入る

「あら?珍しいお客様ね?
愛ちゃんが読者モデルの子を連れてくるなんて
久々じゃない?」

「そうかも知れない。だけどさ、
やっぱり同じ境遇にいたんだもの。
見本になればいいかなと思って
連れてきちゃった」

「そっか。じゃ、撮影が始まるわね」

彼女に椅子を用意してくれたマネージャー
温かい飲み物を傍に置いているのは
体を冷やさない為。
冷たいものを飲んだりすることも
モデルの体には、許されない

「彼女にも、少し入れてあげて」

「いいんですか?ここにいるスタッフの分もあるんでしょう?」

「うん。だから、あたしの分を彼女に」

「分かったわ」

いつものようにカメラの前に立つと

「それじゃ、愛。いつも通り頼んだよ」

「はい」

パシャパシャと取られるたびに動くあたしと
それに靡いてくれる服

「んー。愛。この衣装で、この動きなら
麦わら帽子をかぶってみてくれないか?」

麦わら帽子?

「いいですけど」

麦わら帽子をかぶって、同じような動きをすると
どうしても、麦わら帽子が
飛んで行ってしまいそうになって、帽子を押さえてしまう

「OK!」