「悪いけど、着替えるから出ていて」

そう言ったあたしの後ろに下がった相沢

楽屋に入ってすぐにテレビ電話をし始めるのは
カメラの設置場所を決めるためだ
楽屋のドアの鍵も閉めるのも忘れない

「あ、愛ちゃん!?」

ドアの向こうで何かを言っていようがあたしには関係ない

入り口が見える場所に設置して
桜の洋服を掛け、そこにも見えるように設置をする
いたるところにカメラを設置し終えたところで
ようやく着替えを始める

「愛さん、入りまーす」

そう言ってくれるスタッフ

「ありがとう。愛」

「大丈夫。桜の為だったら、時間も惜しまないようにしたいの」

「そう」

ほどなくして、現場には行ってきた昨日の男
一瞬でいつもの雰囲気が
更に華やかになった気がする。
さすが、人気若手俳優なだけあるってことかしら

「今日からよろしくお願いします」

そう言ってきた彼にあたしも
よろしくお願いします。と返事をする
彼との撮影は一週間。
スタジオだったり、外での撮影だったり
どこか場所を借りて撮影をするらしい

いつも通りカメラの前に立つと
何も言わずともシャッターを切ってくれるカメラマンの相原さん

一度休憩を挟むことになったあたしたち

「さすがですね。朝倉さんが、ここにいるスタッフたちに
信頼を寄せているのがすぐに分かりました」

本当にそう思っているのかしら

「それはそうと、今日から同居ですね。よろしくお願いします」

あ・・っ
すっかり忘れてた

「愛。どういう事?」