いつの間にか駐車場に着いていて、小春が自分でドアを開ける前に政宗が助手席のドアを開けてくれた。

そっと手を差し出され、その手に自分の手をのせていいのか迷う。だが宙をさ迷う小春の手は政宗の大きな手にいとも簡単に包まれ、まるでお姫様のように車から降ろされた。

車から降りたというのに、繋いだままの手を政宗は離さなかった。むしろぐっと握られ、小春はドキドキと鼓動が速くなる。

「俺は結婚するなら小春がいい」

「えっ?!……それってどういう……?」

意味がわからず目をぱちくりさせる小春だが、言葉の意味をじわじわと理解していくに連れて頬がピンクに染まっていく。

「俺が好きなのは小春だよ」

「……嘘だ?」

「嘘じゃない。俺はずっと小春が好きだよ」

小春の視界が急に開けた気がした。
ずっと秘めていた想いを口にしてもいいんだと思うといてもたってもいられなくなり、小春は政宗の手を握り返す。

「私、私も。私は小学生の頃からずっとだよ。ずっとずーっと政宗くんが好き」

やっと想いが通じ合ったのに、二人は見つめあったまま真っ赤になった。嬉しいやら恥ずかしいやら、どうしたらいいかわからない。

小春がはにかんで笑うと、政宗はふと表情を緩め、小春をそっと引き寄せて自分の胸に抱いた。ふわっと良い香りがして、政宗はそのまま酔いしれそうになった。
小春もまた、この温もりにしばし微睡んだ。