「ところで、昨日のこと覚えてないんだよね?」

「うん、全然覚えてない。ご飯が美味しかったのは覚えてるけど」

「そっか、小春はお酒飲まない方がいいかもね。食前酒だけでこれじゃ危なくて仕方ないよ」

政宗の口調は優しいものの、この失態は小春を落ち込ませるには十分だった。ガクッと項垂れ、恐る恐る聞く。

「うう、面目ないデス。私政宗くんに何か変なこと言った?」

──政宗くんだぁーい好き

政宗の頭の中で何度も反芻される小春の言葉。
可愛くて今すぐにでも自分のものにしたいくらいだ。

じっと見つめながら政宗の答えを待つ小春からふっと目をそらすと、

「うーん、……俺も覚えてないかな」

ととぼけた返事をした。

「えー何それ、絶対何か隠してる。絶対何か変なこと言っちゃったんだ。そうでしょ?もー、やだー」

青ざめながら頭を抱える小春は必死に昨日のことを思い出そうとするも、やはり何も思い出せなかった。