政宗の長い腕が伸び、小春の髪に触れる。
そのまま大きな手が小春の頭を包み込んだ。
優しく撫でられ、小春の胸はきゅんきゅんと音を立てる。

男らしく大きくて温かい手。
柔らかい手つき。
ずっとこのまま微睡んでいたい。

(もっと触ってほしいな……)

だけどその手が小春の他の部分に触ることはない。あくまでも、小春がお願いしたから頭を撫でてくれているだけなのだ。

小春は自分の胸の辺りをチラリと見る。
本当は、いつか政宗くんと恋人になって、体を触ってもらいたかった。

そんな淡き夢は儚くも消え去った。
もう絶対に見せられない。
傷は二つに増えたのだから。

小春に渦巻く気持ちに対して、政宗の手つきはずっと優しい。それが嬉しくて悔しくて、思わず涙が溢れた。

「小春?」

ポタポタと溢れる涙に気づき、政宗は動きを止める。

「どうした?」

慌てる政宗は何がなんだかわからないといった顔をしていて、小春は急に怒りがわいてきた。
自分の気持ちなんてこれっぽっちもわかってくれていないんだと思うと、悔しくて悔しくてたまらない。