小春と優也はそれぞれ部屋が与えられている。
だからそれぞれ過ごせばいいところを、過保護な優也は常に小春の側にいたがる。

小春の心臓に問題があるとわかったとき、もしかしたら長く生きられないかもしれないと聞いたからだ。今は問題なくても、いつ、小春の心臓が悲鳴を上げるかわからない。だから、小春の側にいられるうちは、なるべく一緒にいて見守ろう。何かあったら働く両親に代わって自分が助けなければ、という強い使命感からくるものだった。

小春も直接優也からその想いを聞いたわけではないが、ひしひしと伝わる愛情に、不満を口にしながらも大人しく従っていた。別にそれが嫌なことだと思ったことはなかった。

小春が大人しく宿題を持って優也の部屋で待っていると、優也が友達を連れて入ってきた。
彼は小春を見ると優しく笑いかける。

「お邪魔します」

「……えっ、あっ、こんにちはっ」

ぎこちなくどもった挨拶に、小春は恥ずかしさで体温が上がった気がした。